厚生年金保険の適用事業所数は,毎年度3〜4%程度増加しており,49年度末では約83万5,000となっている。
また,被保険者数は,毎年度2〜3%程度増加してきていたが,49年度末では約2,365万人と若干減少している。
なお,1事業所当たりの被保険者数は,毎年度わずかではあるが減少傾向にあり,49年度末では,28.3人となっている( 第3-1-7表)。

厚生年金保険においては,年金額及び保険料額を計算する場合,被保険者が受けている報酬を基礎とするが,実際に受ける報酬を35等級に区分された標準報酬にあてはめて,それにより計算することとなっている。
平均標準報酬月額は,近年の賃金の上昇を反映して毎年度10%以上増加しているが,特に49年度は賃金の上昇が著しく,前年度に比べて24%と大幅に上昇し,第1種被保険者12万9,682円,第2種被保険者7万1,238円,第3種被保険者15万2,586円となり,その平均額は11万1,268円となっている(第3-1-8表)。

保険料の額は,標準報酬月額に保険料率を乗じて計算されるが,この保険料率は,保険給付の予想額,積立金の運用利子,国庫負担の予定額等に照らして,少なくとも5年ごとに再計算されることになっている。
(3) 保険給付
厚生年金保険の保険給付には、年金給付として老齢年金,通算老齢年金,特例老齢年金,障害年金及び遺族年金があり,一時金給付として障害手当金及び脱退手当金がある。
年金の受給権者数は,毎年度10%以上の増加を続けており,49年度末では約205万人となっている。49年度末における年金受給権者1人当たりの平均年金額は,48年度改正により導入された物価スライド制の第1回目の措置が49年8月から実施されたことによって,前年度に比べて約16%増加している(第3-1-9表及び第3-1-10表)。


49年度末における老齢年金の受給権者数は約89万人で,前年度に比べて15%増加している。
イ 通算老齢年金
49年度末における通算老齢年金の受給権者数は約36万人で,通算年金制度が創設された36年以来,毎年度著しい増加を続けている。特に,45年度及び46年度には,高齢者に対する資格期間短縮措置による受給権者が多数発生したこともあって,大幅な伸びを示している。
ウ 特例老齢年金
特例老齢年金は,旧陸軍共済組合等の組合員であった者について,その旧共済組合員期間を含めて受給資格期間をみることによって支給される年金であるが,49年度末の受給権者数は310人で前年度に比べて若干減少している。
エ 障害年金
49年度末における障害年金の受給権者数は約12万人で,前年度に比べて7%増加している。
オ 遺族年金
49年度末における遺族年金の受給権者数は約68万人で,前年度に比べて9%増加している。
カ 障害手当金
49年度における障害手当金の受給者数は598人で,受給者1人当たりの平均受給額は51万336円である。
キ 脱退手当金
49年度における脱退手当金の受給者数は6万1,180人で,毎年度減少傾向を示している。受給者1人当たりの平均受給額ば5万4,724円である。
(4) 財政
厚生年金保険の運営に要する経費は,保険給付に要する経費と事業運営に要する事務費に大別される。前者は,主として保険料と積立金から生じる利子収入によって賄われるが,更に20%の国庫負担がある。後者は,その全額が国庫負担により賄われている(第3-1-11表)。

厚生年金保険においては,本来の保険給付のほか,被保険者,被保険者であった者及び手金受給権者の福祉の増進を図ることを目的として,次の福祉施設を設けている。
ア 厚生年金病院9か所
イ 厚生年金会館5か所
ウ 厚生年金総合老人ホーム1か所
エ 厚生年金老人ホーム31か所
オ 厚生年金スポーツセンター3か所
厚生年金基金は,政府管掌の厚生年金保険の老齢年金及び通算老齢年金のうち,報酬比例部分の一部を代行し,併せて,これを上回る年金給付を行うことを目的として,企業等の事業主の発意により,厚生大臣の認可を受けて設立される特別法人である。
基金は,従業員1,000人以上の企業が単独に,又は合わせて従業員が1,000人以上となる幾つかの企業が共同して設立することができるが,その企業等の労使の合意が必要とされており,50年7月1日現在では,921基金,517万人を超える加入員を擁するに至っている。
基金設立の態様をみると,921基金のうち,単独企業による単独設立が402基金で43.6%を占め,親企業と子企業という二つ以上の関連企業による連合設立が,306基金で33.2%,同種同業の多数の中小企業による総合設立が213基金23.2%となっている。
母体企業の業態別状況は第3-1-12表のとおり機械器具製造業,卸売・小売業等が多い。

加入員規模別にみると,5,000人未満の基金が68.3%,5,000人以上の基金は31.7%となっている。なお, 第3-1-13表のとおり,5,000人以上の基金の占める割合は上昇の傾向を示している。

基金が支給する給付には,退職を支給事由とする年金給付と,脱退又は死亡を支給事由とする一時金給付とがある。
退職を支給事由とする年金給付は代行部分を上回るものでなければならないが,その算定方式としては,厚生年金保険の報酬比例部分と同じ計算方式を用いて手厚い給付を行うもの(代行型),この方式によるものに企業の独自性に応じた特別の額を上積みする方式を加えたもの(加算型)などがあり,第3-1-14表にみられるとおり,最近加算型の基金が漸次増加する傾向をみせている。

年金給付の受給権者は,基金制度の歴史が浅いためまだ本格化はしていないが,漸次その数を増し,49年度末では,12万人を超えるに至っている。
イ 掛金
基金の掛金の額は完全積立方式を建前として各基金ごとに,それぞれの給付に見合った掛金率が定められている。なお,基金が設立された場合,代行部分に見合う保険料率(男子1,000分の28,女子1,000分の24)相当分は,政府に納付することを免除される。
掛金の額の負担割合は事業主と加入員との折半を原則とするが,基金の設立によって政府に納付することを免れる保険料相当額を超える部分については,事業主の負担を増すことができることになっている。
ウ 標準給与
基金の給付及び掛金の計算の基礎となる標準給与の決定方法等については,厚生年金保険の標準報酬の例によることを原則としている。
エ 財政
基金の運営に要する経費は,年金給付に要する経費(年金経理)と基金の事業運営に要する経費(業務経理)に大別される。
年金給付に要する経費は,掛金,利子収入及び年金給付に対する国庫負担(基金の年金給付のうち,代行部分の給付について政府管掌に見合った国庫負担が行われる。)で賄われ,基金の事業運営に要する経費は,事務費掛金として全額事業主が負担するのが通例とされている。
なお,基金は,給付を将来とも賄うことができる適正な掛金が確保されているかどうかを検証し,必要な措置を講ずるため,設立後3年を経過した年度末に第1回目の財政再計算を行い,以後5年目ごとに財政再計算を行わなければならないことになっている。
オ 福祉施設
基金は,加入員及び加入員であった者に対して,本来の基金の給付を補完し,これらの者の福祉の増進を図るため,必要な福祉施設を行うことができることとされ,49年度から各基金で実施されている。
カ 厚生年金基金連合会
基金は,その中途脱退者について,1か月でも加入員期間があれば年金給付を支給しなければならないが,このような短期加入者(通常10年未満)に対する年金の支給を目的として、基金からその者の年金給付の現価相当額の移管を受け,これによって承継した中途脱退者の年金給付の支給を主たる業務とするのが厚生年金連合会である。
50年7月現在までの中途脱退者数及び現価相当額は,それぞれ496万人及び888億円である。