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第1章  健康と医療
第7節  医療保険制度
2  医療保険の名制度
(2)  健康保険
ア  政府管掌健康保険





(ア)  適用状況

 近年における政府管掌健康保険の事業所数の推移は第1-7-8図に示すとおり毎年度約3万事業所程度増加しており,42年度末の事業所数は59万1,296となつている。

第1-7-8図 政府管掌健康保険適用事業所数

 被保険者数の動きは第1-7-9図に示すとおり増加してきており,42年度末の被保険者数は,1,253万人に達し,37年度末の被保険者数と比較すると,この5年間に22.2%増加している。これを対前年度増加率でみると,38年度6.0%,39年度5.2%,40年度2.4%,41年度4.3%,42年度2.7%,また1事業所当たりの被保険者数は,37年度末には23.1人であつたものが,その後やや減少し,42年度末には21.2人となつている。

第1-7-9図 政府管掌健康保険の被保険者数と被扶養者数

 被扶養者数は,37年度から5年間で13.8%の増加をみ,42年度末で1,210万人となつている。被保険者1人当たりの被扶養者数をみると,37年度末に1.04人であつたのが,42年度末には0.97人となつている。


(イ)  標準報酬

 健康保険では,保険料の額及び傷病手当金,出産手当金のような被保険者に対する現金給付の額は,当該被保険者の標準報酬を基礎として算定される。このように標準報酬とは,保険料の徴収及び現金給付に関する事務上の便宜を図るため,被保険者の受ける報酬について段階を設け,各被保険者の受ける報酬をそれぞれの定額に標準化したものである。

 平均標準報酬月額は,労働者の平均賃金の動きを反映するが,近年における動きは第1-7-10図 に示すとおり毎年度平均して3,000円弱の増加を示しており,過去5年間に1.7倍以上となつている。特に42年度末では,3万2,903円と前年度に比べ3,000円を上回る増加を示している。これは,健康保険の標準報酬月額は41年3月までは最高が5万2,000円に頭打ちされていたので,必ずしも賃金の実勢を反映していたとはいえなかつたものが,41年4月からは標準報酬月額の最高額が10万4,000円までに引き上げられたので,賃金の実勢をかなり反映するようになつたことによるものということができる。

第1-7-10図 政府管掌健康保険の平均標準報酬月額の推移




(ウ)  保険給付

 保険給付には,被保険者本人に対するものとして療養の給付,療養費の支給,傷病手当金,出産手当金.分娩費,育児手当金及び埋葬料(又は埋葬費)の支給があり,被扶養者に対するものとしては,家族療養費の支給,配偶者分娩費,配偶者育児手当金及び家族埋葬料がある。

 まず,保険給付費の動きをみると37年度では1,401億円であつたが,その後毎年度平均400億円程度増加し,42年度においては3,766億円となり,37年度の2.69倍となつている。これを被保険者1人当たりでみると,37年度では1万3,730円であつたが,その後毎年度平均約3千円増加し,42年度には2万8,507円となり,37年度の2.1倍となつている。

 ところで,保険給付費を構成する各給付を金額の面からみると,療養の給付と家族療養費が大部分を占めており,これに次ぐものが傷病手当金となつている。


a  療養の給付及び家族療養費

 療養の給付は,被保険者に対して,病院,診療所において診察,手術,薬剤の支給,入院,看護などを行なうものであり,家族療養費の支給は被扶養者に関してこれらの給付を行なうものである。

 療養の給付費は,37年度の994億円が42年度には2,671億円と5年間にほぼ2.7倍になつており,家族療養費についても37年度221億円が42年度には566億円とほぼ2.6倍の増加を示している。この間被保険者数は22.2%,被扶養者数は13.8%増加しているが,療養の給付費の増加はこれを大きく上回つているわけである。

 この内容をみてみると,第1-7-8表のとおりであつて,療養の給付費の増加は1日当たり金額の大幅な増加が大きく原因している。

第1-7-8表 政府管掌健康保険の医療給付の状況




b  傷病手当金

 傷病手当金は,被保険者が療養のため働けない場合で賃金がもらえないときに,4日目から労務不能の期間中,6か月(結核性疾患の場合は,1年6か月)を限度として,1日につき標準報酬日額の6割を支給し,その間の生活の安定に資することを目的とするものである。

 傷病手当金の支給総額は,37年度の141億円から42年度には253億円と1.8倍に増加している。過去5年間における被保険者1人当たり支給金額の増加傾向は第1-7-9表に示すとおり,かなり著しいが,これは賃金上昇による平均標準報酬月額の伸びによるものであるといえよう。

第1-7-9表 政府管掌健康保険傷病手当金給付の状況




c  その他の給付

 傷病手当金以外の現金給付費の動きをみると,出産手当金は37年度に10億円であつたが,42年度には33億円と3.1倍に増加しており,分娩費(配偶者分娩費を含む)は,37年度に15億円であつたのが42年度には25億円と1.7倍の増加をみせている。


(エ)  保健施設

 健康保険では,被保険者又は被扶養者の健康保持増進,あるいは疾病予防を図るため,病院及び診療所の設置,保養所の運営,健康相談などの事業を行なつている。


(オ)  保険料

 政府管掌健康保険の保険料率は,35年3月から41年3月までは63/1,00041年4月から65/1,000と定められていたが,臨時特例法の施行によつて,42年8月分からは70/1,000とされている。

 保険料額は,この保険料率を前述の標準報酬月額に乗じて算定され,この保険料額は事業主と被保険者とが折半して負担することになつている。

 保険料の収納状況をみると,収納率は37年度が94.5%であつたのに対し,42年度は97.8%と大きく上昇し,戦後最高の成績を収めている。

 なお,37年度の被保険者1人当たり保険料収納額は1万3,697円であつたのが,42年度のそれは2万6,303円となつている。


(カ)  保険財政

 近年における政府管掌健康保険の収支状況は第1-7-10表に示すとおりであり,その経緯については,既に述べたところである。

第1-7-10表 政府管掌健康保険財政状況(単年度分)

 財政収支の不均衡は42年度においても増大し,何らの対策も講じないとすれば単年度で745億円の赤字を生ずるものと見込まれたが,臨時特例法の制定及び国庫補助225億円の導入からなる暫定対策を講ずることによつて,予想された単年度赤字の解消に努めることとした。しかし,法案修正などもあつて,なお単年度で58億円の赤字が生じた。


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