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第1部    地域とともに支えるこれからの社会保障
第2章    地域によって様々な国民生活の姿と地域の取組み
第4節    生活保護を取り巻く地域の状況と取組み
1    生活保護制度と地域差の要因
(2)    生活保護の地域差とその要因





(生活保護受給世帯数等は増加)

我が国の代表的な低所得者対策として挙げられる生活保護の現状を見ると、生活保護受給世帯は、近年の厳しい経済・雇用情勢の下で、1995(平成7)年以降急激に増加しており、2003(平成15)年度には生活保護受給世帯数941千世帯、生活保護受給者数1,344千人、保護率(人口に対する生活保護受給者数の割合)10.5‰。となり、2004(平成16)年10月には、生活保護受給世帯数が100万世帯を超えたところである。また、世帯類型別では、高齢化の影響により高齢者世帯、特に高齢者単身世帯が増加しているが、母子世帯やその他世帯(50歳代単身者等)についても増加している。

図表2-4-1

図表2-4-1 世帯類型別被保護世帯数、被保護実人員及び保護率の推移

近年の保護率の上昇は、近年の経済状況の悪化等の影響を受けたものであるといわれているが、その状況については地域差が見られるところである。このため、地域における生活保護の状況を概観し、地域差の要因について考察するとともに、生活保護受給者の自立支援策等の生活保護の状況の改善に向けた取組みについて検証する。


(保護率の地域差は拡大傾向にある)

都道府県別の保護率を見ると、北海道、大阪府、高知県、福岡県などで高く、全体的に西日本での高い保護率が目立っている。都道府県別の保護率については、2003(平成15)年度においては、最も高い北海道(22.0‰)と最も低い富山県(2.1‰)との間で10.5倍の差がある。1995(平成7)年度における保護率が最も高い福岡県(16.4‰)と最も低い岐阜県・富山県(2.0‰)の間の差が8.2倍であったことと比較すると、保護率の高まりとともに保護率の地域差は拡大傾向にある。

図表2-4-2

図表2-4-2 都道府県別保護率




(保護率は地域の経済・雇用情勢に影響を受ける)

地域における保護率の水準には高低があり、それは様々な要因により生じていると考えられるが、その要因を分析することとする。

まず、保護率と地域の経済・雇用情勢の相関をみると、保護率と完全失業率については一定の相関関係が見られ、完全失業率の高い地域は保護率が高く、完全失業率の低い地域は保護率が低いという状況になっている。

図表2-4-3

図表2-4-3 保護率と失業率の相関

これは、低所得に陥る要因として失業の影響が大きいためであると考えられ、全国の完全失業率の変化と生活保護受給者数の伸びの変化が同様の動きを示していることからもわかる。また、第2次産業就業者比率の高い地域は保護率が低く、第3次産業就業者比率の高い地域は保護率が高いという相関関係が一定程度見られる。

図表2-4-4

図表2-4-4 保護率と第2次産業就業者比率

このため、保護率は、地域の経済・雇用情勢による影響を受けていると考えられるが、都道府県別の保護率と完全失業率や第2次産業就業者比率の相関関係を見ると、回帰直線(注)から大きく離れている都道府県があることから、保護率の地域差は必ずしも地域の経済・雇用情勢のみで説明できるものではなく、他の様々な要因も勘案して分析しなければならないものと考えられる。


(注)2つの変数の相関関係を示した散布図において、その関係を直線で表すもの。




(都道府県内における保護率についてもばらつきが大きい)

都道府県別の保護率とその都道府県内の福祉事務所ごとの保護率のばらつき度との関係を見ると、保護率の高い都道府県においては、その都道府県内におけるばらつき度も大きくなっている。

図表2-4-5

図表2-4-5 都道府県保護率と福祉事務所別保護率のばらつき度の関係




(地域ごとに世帯構成の状況は多様である)

生活保護受給世帯の世帯類型別の構成について見ると、生活保護受給世帯に占める高齢者世帯の割合は、全国平均で46.4%であるが、最も高い熊本県(56.8%)と最も低い新潟県(38.3%)で1.5倍の地域差があり、高齢者単身世帯の割合についても、全国平均では40.6%であるが、最も高い富山県(52.0%)と最も低い埼玉県及び新潟県(33.9%)で1.5倍の地域差がある。また、母子世帯の割合は、全国平均で8.7%であるが、最も高い北海道(14.3%)と最も低い富山県(1.7%)で8.4倍の地域差がある。

このように、地域によって生活保護受給世帯の世帯類型の構成が異なっているが、これは、地域により高齢化、三世代同居や離婚等の状況が異なることを受けているものと考えられる。


(地域における生活保護行政の実施体制の充実が課題)

生活保護の業務は社会福祉主事の資格を有する現業員(ケースワーカー)が担当し、その配置数は社会福祉法において、市部については生活保護受給世帯80世帯に1人、郡部については同65世帯に1人が標準とされている。現業員の配置状況は、2004(平成16)年度において全国で11,944人であるが、全国の福祉事務所のうち、現業員数が標準数に不足している福祉事務所について標準に不足している人員数を合計すると1,198人となっており、この不足数は2000(平成12)年以降354人、576人、858人、1,089人と年々増加しているところである。

図表2-4-6

図表2-4-6 現業員(ケースワーカー)の不足数

現業員の充足率(現業員数/標準数)を都道府県別に見ると、最も高い地域(184.4%)と最も低い地域(68.4%)で2.7倍の大きな差がある。現業員の充足率と保護率の関係をみると、充足率が100%を上回る都道府県(32地域)の保護率は8.3%。、100%を下回る都道府県(15地域)の保護率は12.8‰で1.5倍の差があり、現業員の充足率が高い地域では保護率が低く、充足率が低い地域では保護率が高くなるという一定の相関関係が見られる。

図表2-4-7

図表2-4-7 現業員充足率と保護率の相関

さらに、保護申請1件当たりの関係先に対する資産・収入調査件数について都道府県別にみると、全国平均では申請1件当たり23.1件であるが、最も多い地域(43.4件)と最も少ない地域(6.1件)には7.1倍の差がある。生活保護受給世帯に対する訪問調査の件数についても、全国平均では1世帯当たり3.9回であるが、最も多い地域(6.9回)と最も少ない地域(2.3回)には3倍の差がある。このように、地方自治体における事務実施の状況にも大きな差が見られる。

要保護者のニーズに的確に対応していくため、特に保護率が上昇している現状においては、現業員の配置その他の実施体制の整備や組織的な対応が望まれるところである。


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